東京高等裁判所 昭和60年(行コ)3号
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
第一当事者の申立て
一 控訴人の申立て
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が中労委昭和五八年(不再)第九号事件について昭和五九年二月一日付けで発した命令を取り消す。
3 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人および被控訴人補助参加人の申立て
主文第一項と同旨
第二当事者の主張
当事者の主張は、次のとおり附加、訂正するほか、原判決の事実摘示と同じであるから、これをここに引用する。
1 原判決三枚目表五行目に「違法、不当である。」とあるのを「違法である。」と改める。
2 同三枚目裏六行目に「当然に、」とある次に「当該事業の規則、規準、業務運営上の指示、命令を遵守して就労し、」を加える。
3 同三枚目裏八行目に「ある。」とあるのを「あり、憲法二八条はこのような者に対し団体交渉権その他の団体行動権を保障しているのである。」と改める。
4 同四枚目裏五行目から六行目にかけて「とはならない。」とある次に「しかも、これまで述べてきたところから明らかなように、労働組合法六条は、本来、右のような労働組合の代表者にのみ団体交渉をする権限を授与すべきところ、それだけでは労働組合の弾力的な運営に支障を来すおそれがあるので、右のような労働組合の組合員に限り、その代表者と同様に、その委任を受けて団体交渉をする権限を授与したと解すべきであるから、補助参加人組合が団体交渉の権限をもつものということもできない。」を加える。
5 同四枚目裏八行目に「二七条、」とある次に「二八条、」を加える。
6 同四枚目裏八行目から九行目にかけて「五条一項」とある次に「、六条」を加える。
7 同五枚目裏三行目に「代表する者である。」とある次に「とくに、池田は、控訴人会社において、安全衛生管理体制を確立し、災害補償業務について指示、指導する等の業務に従事していた期間、控訴人会社の従業員の勤労を評価する権限を有していたのであるから、たとえそこに裁量の余地がないとしても、およそそのような者が労働組合に加入していること自体、その労働組合の自主独立性を失わせることは明らかであり、池田が右の使用者の利益を代表する者に該当することは当然である。」を加える。
第三証拠関係
原審および当審の記録中の書証目録、証人等目録に記載されているところと同じであるからこれをここに引用する。
理由
一 当裁判所も控訴人の本訴請求はこれを棄却すべきものと判断するが、その理由は次のとおり附加訂正するほか原判決の理由説示と同じであるからこれをここに引用する。
1 原判決七枚目裏九行目の「右除外した点は、」から同一〇行目の「認められる。」まで〔労判四四七頁44頁3段15行目~16行目〕を「成立に争いのない(証拠略)によれば、控訴人会社における職位は昭和四五年一一月二一日以降事務系、技術系とも部長のみとなったことが認められる。」と改める。
2 同八枚目表一行目から二行目にかけて〔同20行目~21行目〕「団体行動権行使の主体となる」とあるのを「労働組合を結成することができる」と改める。
3 同九枚目表四行目の「不当労働行為の」から同六行目の「なければならないのであり、」まで〔同4段26行目~29行目〕を「労使関係について専門的知識経験を有する労働委員会が、その裁量により、個々の事案に応じた適切な是正措置を決定し、これを命ずることができるのであり、」と改める。
4 同九枚目表八行目〔同31行目〕に「されており、」とあるのを「されており(なお、労働組合法三二条かっこ書参照)、」と改める。
5 同九枚目裏一行目から二行目にかけて〔45頁1段6行目~7行目〕「救済適格がない旨」とある次に「および同人の解雇撤回、原職復帰は団体交渉の要求事項となり得ない旨」を加える。
6 同一〇枚目表末行に「成立に争いがない」とある次に「甲第二四号証の一ないし三、」を加える。
7 同一〇枚目裏七行目に「第二六号証」とある次に「および当審証人久保園幸弘の証言」を加える。
8 同一〇枚目裏九行目〔同2段9行目~10行目〕に「受けないなど、いわゆる平社員とは異なった」とあるのを「受けない(もっとも住宅手当、通勤費の支給は受ける。)など、いわゆる平社員とは若干異なった」と改める。
9 同一一枚目表五行目〔同19行目〕に「行ったものではなく、」とある次に「上司である部長、主幹等の指示、監督を受けながら、」を加える。
10 同一一枚目裏一行目から二行目にかけて〔同末行目~3段1行目〕「原告の主張は、前提を欠き失当である。」とあるのを削り、同一行目の次に行をかえて「ひるがえって考えると、一般に、労働者は労働契約の締結によって使用者に対し労務を提供すべき義務を負うが、その労務の提供の時期、場所、方法等は、通常、労働契約等の範囲内において、使用者の指揮命令により定まるところ、右の指揮命令にあたり、使用者が、自己の利益を図り、利潤を追求するために、労働者の労務の提供を当該事業の特定の分野に集中させ、一定の職務を担当させることは理の当然であって、この意味において労働者が使用者の利益を図らないということはほとんどない。そして、右のように使用者が労働者の労務の提供を当該事業の特定の分野に集中させ、一定の職務を担当させた場合においてもなお、事柄の性質上、使用者が労働者の労務を提供すべき分野を細部に至るまで詳細かつ完全に特定することができず、おのずから労働者の意思、判断にまつところが残るばかりでなく、労働者もまた、通常の場合、多かれ少なかれ、その担当する業務の遂行過程において生じた問題を、適宜、上司の意見を求めてまたは同僚と相談しもしくは自ら解決せざるを得ないことは明白であり、この意味において労働者はその担当する業務運営の具体的内容を自ら確定するということができる。
右にみてきたところによって控訴人の考えを推し進めると、一般の労働者は広く労働組合法二条ただし書一号にいう「使用者の利益を代表する者」に該当することになるが、このような控訴人の考えはさきに述べた同法二条ただし書一号の趣旨・目的に照らし、到底採用することができない。
そうすると、控訴人の前記主張は、池田が使用者の利益を代表する者に当たるという前提を欠き、排斥を免れない。」を加える。
二 以上によれば、原判決は相当であって本件控訴は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条本文、八九条、九四条後段をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 櫻井敏雄 裁判官 増井和男 裁判官 河本誠之)